大自然の生命力に感動する神社、健磐龍命が創建したとされ様々な神話や伝承を盛りだくさんに詰まっている弊立神宮

スポンサーリンク
健磐龍命

壮大なスケールを持つ弊立神宮

熊本県山都町にある弊立神宮は、神代の時代の神々が祀られていて、様々な伝承と古い信仰の形を残すスケールが壮大な神宮です。弊立神宮には古事記に登場する高天原があったという伝承があり、高天原神話発祥の神宮ともいわれています。樹齢のある立派な木々に覆われた境内に足を踏み入れると、厳かな空気に包まれます。弊立神宮のもつ神聖な雰囲気には、心が洗われる気持ちになります。今回は、神代の時代や様々な伝承を表した稀有な神宮である弊立神宮に触れ、その魅力に迫っていきます。

弊立神宮の拝殿

素晴らしい自然と神々の世界が展開する弊立神宮

弊立神宮のある山都町は、阿蘇南外輪山の南麓一帯と九州脊梁山地に属する山岳地帯で構成され、美しい自然に恵まれています。また九州のほぼ真ん中に位置するため「九州のへそ」と呼ばれ、東側の日向灘へ流れる五ヶ瀬川と西側の東シナ海に流れる緑川の分水嶺にもなっています。この二つの川の水源を各所に有する山都町は、豊かな水資源を有する町でもあります。そんな山都町にある弊立神宮は、厳かな神域の雰囲気に包まれた小高い鎮守の森に鎮座しています。かけがえのない自然と人智を超えた神々の世界が展開しており、言葉では表現できない素晴らしさがあります。

弊立神宮の天神木高千穂

健磐龍命が御弊を立てたことに由来する弊立神宮

阿蘇を開拓したとされる健磐龍命は、日向国から五ヶ瀬川に沿って三田井(高千穂)、馬見原を通って阿蘇に至りました。その道中で、1羽の白鳥が弊立神宮へ案内しました。健磐龍命は、御幣を立てて奉祀されたので、「弊立神宮」の名が起こったとされています。神武天皇の孫にあたる健磐龍命はこの地が祖先の天照大神などの神々が住まわれた天津原であることを知り、弊立神宮を創建したとされています。弊立神宮には天照大神や天中主大神など高天原に関わる神社が鎮座し、神漏岐命と神漏美命が主祭神として祀られています。この二柱は、古代の人々が争いあうことを天の神が、心配して地上に遣わしたとされています。

八大龍王が住んでいるといわれる水玉の池

全世界の平和を願う弊立神宮の神事「五色神祭」

弊立神宮は人々が安心して暮らせる平和な世の中を祈願する神宮です。弊立神宮はモーゼの水玉や五色神面が奉斎されており、時代や宗教、文化の垣根を越えた寛容さを感じることができます。そんな弊立神宮では毎年8月23日に「五色神祭」が行われています。五色とは世界の人種の色を表したもので、赤色・白色・黄色・黒色・青色の五つの色になります。かつて人類の祖先にあたる五色の人々が集まり、御霊を和合するための儀式を行ったとの伝承があります。「五色神祭」はこの伝承に基づき、世界の人々が互いに認め合い助け合うという全世界の平和を願う神事となっています。

拝殿の右側にある弊立神宮の御神木

1万5千年の命脈がある弊立神宮の御神木

弊立神宮の右手には天照大神の御霊がいらっしゃるといわれる日の宮があります。日の宮には御神木の檜があり、主祭神である神漏岐命、神漏美命がこの木に降臨されたと言われています。樹齢2000年あると言われ、株の部分は木が生えたり枯れたりを繰り返して、約1万5千年もの命脈があります。この地に弊立神宮を創建し、壮大な神々の世界が展開する前からこの命脈ある御神木が存在し、人々は自然信仰していたのかもしれません。10代目にあたる現在の幹は、平成3年の台風19号により幹が折れ、上の方がなくなってしまいましたが、本殿の左手にはそのなくなった上部が「天神木 高千穂」として祀られています。将来、11代目となる樹が御神木から生えてきている様子も伺え、類いまれなる生命力を感じます。

弊立神宮の東手洗社

数々の伝承がある弊立神宮の東御手洗社

「天神木 高千穂」の奥から東御手洗社へと降りる道があります。「双子杉」や「五百杉」などの古木が立ち並ぶ森の道を200mほど歩くと東御手洗社に到着します。ここには水が湧き出る水源があり、水の神様を祀る祠があります。2ヵ所の水源から竹筒を通して水が流れており、手洗いや喉を潤すことができます。祠の隣には「八大龍王」が住んでいるといういわれのある「水玉の池」があります。かつて瓊瓊杵命(ニニギノミコト)がこの池の水で全国の要所を清めたという伝説が残っています。「水玉の池」の近くには、東御手洗の水を引いた「悠紀田」と呼ばれる神田があります。かつて弊立神宮の皇室ゆかりの神々にお供えする稲を西御手洗にあった「主基田」を東御手洗の「悠紀田」に移し、その時の田植えの祭りが皇室の重要な儀式である大嘗祭の基となったといういわれがあります。

大自然と神々の世界をダイナミックに和合した弊立神宮

弊立神宮の境内は太古の昔から生き続けているような大木がたくさん茂っており、生命の源を感じるような自然があります。見晴らしの良い場所に立つと、阿蘇、九重、祖母、由布、鶴見と九州を代表する山々の景観を一望することができます。弊立神宮は、大自然の懐に抱かれ、それを享受していることを体感的に感じます。この地にこの素晴らしい自然を信仰する文化が芽生えたとしても何の不思議はないと思います。そして高天原という神話の舞台となり、壮大な神々の世界とダイナミックに和合して、現在を生きる我々にその姿を見せているように感じました。皆さんも弊立を訪神宮れてみて、大自然にある神々の世界を感じてみてはいかがでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました