かえるのオブジェや夏の風鈴まつりでその数の多さに圧倒される真言宗御室派の寺院、奈良時代創建の古刹の良さと新しい仏教精神の息吹きを感じる如意輪寺

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かえる寺

「かえる寺」や「風鈴まつり」で有名な如意輪寺

福岡県小郡市にある如意輪寺は、奈良時代に僧の行基によって開創されたとされる真言宗御室派の寺院です。如意輪寺は別名「かえる寺」とも呼ばれ、寺の境内にはたくさんのかえるのオブジェがあります。様々な表情や姿をしたカエルが参拝者を出迎え、気持ちを和ませてくれます。如意輪寺には桜、しゃくなげ、紫陽花、新緑や紅葉が楽しめる木々が植えられ、季節の移ろいを感じることができます。そんな四季を楽しめる如意輪寺において、夏に開催されるイベントが「風鈴まつり」です。数千個の風鈴が飾られ、美しい音を奏でる風鈴に目を奪われます。今回は「かえる寺」や「風鈴まつり」、これらを始めた住職の話題に触れながら、如意輪寺の魅力に迫っていきます。

如意輪寺の本堂

慈悲深い如意輪観音像

奈良時代に創建された如意輪寺は、小郡では最も古い寺院で、九州八十八ヶ所第八番札所のお寺です。御本尊は、福岡県の重要文化財に指定されている如意輪観音像です。如意輪観音像では珍しく立ったお姿となっている日本で唯一の如意輪観音立像です。行基が桧の一木を削って出来た一木造りとされており、6本の腕に如意宝珠と法輪を持った観音像です。子安観音としても広い地域から信仰を集めている如意輪寺の如意輪観音像は12年に一度、巳年にのみ開帳される秘仏でもあります。「如意」とは思いどおりになるという意味で、人々の思いを受け止めてくれる慈悲深い観音様でもあります。

所狭しと飾られた風鈴のトンネル

愛くるしさに心が癒される如意輪寺のかえる

近年「かえる寺」として知られるようになった如意輪寺。住職が中国へ旅行に行った際に、骨董品店で買って帰ったのがそのきっかけとなりました。その後、住職の考えもあってかえるの石像や置物が徐々に増えていき、今では大小あわせて約1万体ものかえるオブジェが境内にあります。本物のかえるが苦手な人でもその愛くるしさに心が癒されると思います。かえるは腰が低く、常に前へ跳びはね、目標を達成する縁起のよい生き物ともいわれています。如意輪寺のかえるは、「無事かえる」「元気がかえる」「お金がかえる」など交通安全や長寿、金運などにご利益があるとされています。

たくさんのオブジェを見るのも楽しい如意輪寺

緑豊かな境内に落ち着いた納涼感が味わえる如意輪寺の風鈴まつり

如意輪寺では夏を無事に越せるようにと、風鈴に願い事を書いて境内奉納するという「風鈴まつり」が毎年行われています。如意輪寺境内に無数の風鈴に覆われたアーチが現れ、カラフルな短冊がゆらゆらと揺れる幻想的な涼の世界が展開します。風鈴には魔よけの意味もあり、その涼しげな音色は夏の暑さを忘れさせてくれます。また境内の木々の新緑と、風鈴とのコントラストが美しく、落ち着いた納涼感を味わうことができます。風鈴は1個500円で販売しており、風鈴を持ち帰ることはできませんが、願い事を書いて奉納することができます。

お堂にもたくさんの願い事を掲げた風鈴が飾られている

住職の思いで、集められた如意輪寺のかえる

近年は「かえる寺」、夏に開催される「風鈴まつり」の寺として、多くの人々が訪れる奈良時代に創建された如意輪寺。かえるのオブジェを置いたり、「風鈴まつり」を始めて如意輪寺を広く世に知らしめたのは、令和6年2月に亡くなった住職の原口元秀氏でした。住職はどうしたら寺がもっと人の役に立つ楽しい場所になるのかと知恵を絞り、かえるがたくさんあったら誰もが楽しい気持ちになれるのではないかという思いに至ります。こうして長い年月をかけて、かえるの置物を集めました。

如意輪寺の多宝塔

一つ一つの風鈴に手作りの温かみを感じる如意輪寺の風鈴まつり

かえるのオブジェと並んでもう一つの名物である「風鈴まつり」も、住職の思いに賛同した地元の人々の協力によるものが大きくあります。たくさんの人々の手により設置される風鈴は、9千個にものぼり、幾重にも連なる風鈴の音色と風になびく様子は、圧巻です。その数に圧倒されますが、如意輪寺の風鈴は、一つ一つに地元の人々が思いを込めて飾られており、手作り感のある温かみがあります。住職は新聞社のインタビューで「仏教はどうしたらみんなが幸せになれるかを説いたものです。」と述べています。住職はそうした仏教の教えを書にし、書いたものを境内の随所に置いています。

如意輪寺の癌切不動明王

たくさんの仏像が安置されている如意輪寺

近年はかえるのオブジェや風鈴祭りに話題が先行している如意輪寺ですが、境内には恋愛成就の「愛染明王」や学業成就の「文殊菩薩」などの仏像があります。如意輪寺にはこの他にもたくさんの仏像が安置されており、境内を参拝してまわると何かしら心にひっかかる仏様がいらっしゃるかもしれません。また日本でも数少ない「癌切り不動明王」が鎮座しており、癌の治癒を願う多くの方々が参拝に訪れ、たくさんの絵馬が奉納されています。令和2年には、住職が人々の平和を願って建造した多宝塔が完成しました。多宝塔は高さ16mの二重構造となっており、心柱の中には住職がインドから持ち帰った仏像が埋め込まれています。

古い伝統と新しく始めたものが混在する如意輪寺

風鈴まつりの期間中の如意輪寺は、色とりどりの短冊がついた風鈴が風に揺れ、涼やかな音色を奏でています。もみじなどの新緑と風鈴のトンネルをくぐった先にある本堂には秘仏である如意輪観音立像が安置されており、真言密教の厳粛な空気が流れています。本堂左には「胎内めぐり」があり、たくさんの観音像が並んでいます。そして本堂右には「かえる部屋」があり、住職のかえるコレクションとして5千匹以上のカエルの置物やおもちゃが並べられています。如意輪寺には古い伝統と、住職が平成の世から始めたものが混在しており、新時代に仏教を伝える新しい仏教のあり方の一つを見たような気分になりました。みなさんも如意輪寺を訪れてみてその深い懐を感じてみてはいかがでしょうか。

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