長崎水族館から培ったペンギンの飼育ノウハウを生かすユニークな水族館、ペンギンの愛らしさに心癒される長崎ペンギン水族館

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キングペンギン

 

60年以上のペンギンの飼育経験をもとに繁殖やユニークな展示を行う長崎ペンギン水族館

長崎県長崎市にある長崎ペンギン水族館は、波穏やかな橘湾の一角にあるペンギンに特化した水族館です。世界に生息するペンギン18種類のうち、現在長崎ペンギン水族館では、9種類・約180羽を飼育・展示しており、ペンギンの飼育種類数ではない世界一を誇る水族館となっています。長崎ペンギン水族館は、前身の長崎水族館から通算して60年以上のペンギンの飼育経験があり、これまで培ったノウハウをもとに、ペンギンの繁殖やユニークな展示を行っています。空を飛ぶようにペンギンが泳ぐ深さ4mの巨大水槽や、敷地内の砂浜を散歩したり、目の前の海を泳いだりしているペンギンを観察できる施設があり、訪れる人々を魅了する長崎ペンギン水族館。今回は、長崎の水族館でのペンギン展示の歴史に触れながら、長崎ペンギン水族館の魅力に迫っていきます。

自然の海でペンギンが泳ぐ「ふれあいペンギンビーチ」

ペンギンを乗せた捕鯨船が長崎に上陸

長崎にペンギンを連れてきたのは捕鯨船でした。戦後の食糧難の時代、日本は日本人の食糧を確保するために、昭和21年から南氷洋での捕鯨を再開します。そして操業のために航行している捕鯨船に、ペンギンが飛びこんで来ることが度々ありました。突然やって来たかわいらしいペンギンは、船員たちにとって癒しになったそうで、甲板にペンギン用のプールを作った船もありました。餌を与えながら、日本に連れ帰ったペンギンもいて、全国の水族館や動物園に寄付しました。日本有数の捕鯨基地であった当時の長崎からたくさんのペンギンが上陸しました。こうして長崎はペンギンと馴染み深い土地となり、昭和34年に開業した長崎水族館でも、たくさんのペンギンを飼育しました。

長崎ペンギン水族館で、一番体の大きいキングペンギン

 

「ペンギン王国」と呼ばれていた長崎水族館

長崎水族館でのペンギン飼育は、昭和34年8月5日に、ヒゲペンギン4羽が入館したことから始まります。現在のマルハニチロの前身である太洋漁業の捕鯨船が、南氷洋で捕獲したヒゲペンギンでした。それ以降、ペンギンの飼育・繁殖の試行錯誤を繰り返し、7種120羽のペンギンが棲む大集団に成長しました。長崎水族館は、かつて東洋一と謳われた大規模な水族館で、その中でもペンギンの存在はひときわ大きく、キングペンギンの飼育年数が世界最年長だったり、数々の日本トップレベルの記録を有していたりしていて「ペンギン王国」と呼ばれるほどでした。しかし施設の老朽化に伴う維持管理費用の増大や入場者の落ち込みによる収益の減少で経営不振に陥り、民間経営であった長崎水族館は、平成10年に閉館となってしまいました。

長崎近海の魚を展示する水槽

長崎水族館を引き継ぐかたちでオープンした長崎ペンギン水族館

閉館後の長崎水族館は、処分が決まるまで行政が経営者となって暫定的に施設の維持管理や動物の世話を行っていました。そのため水族館の閉館を惜しんでいた長崎市民やペンギンファンなどは、行政に対して再開への強い要望や署名活動を行うようになります。こうした再開を求める声を受け止め、継続する方向へ進むことが決まります。紆余曲折があって長崎水族館で飼育していたすべての生き物を引き継ぐことはできなかったものの、旧長崎水族館の敷地の一部にペンギンに特化した「長崎ペンギン水族館」が完成し、平成13年にオープンしました。

大きな水槽をのびのびと泳ぐペンギン

これまで6種類のペンギンが繁殖に成功した長崎ペンギン水族館

長崎ペンギン水族館のペンギンの約7割は、長崎生まれです。これは、前身の長崎水族館の時代から繁殖に力を入れ、世界的にも「長崎方式」として知られている飼育法や繁殖法を先駆的に確立したことに起因しています。試行錯誤を繰り返しながら繁殖技術が向上していっており、これまでに6種類のペンギンが繁殖に成功しています。また日本の自然環境が意外にもペンギンに適していたのではないかと考えられます。極寒の地に棲息しているイメージの強いペンギンですが、暖かい土地に棲む種類も多数あります。温帯に属する日本の自然環境に適応する種類のペンギンも一定数あり、必ずしも不適切な環境ではないといえます。

温帯に棲むフンボルトペンギン

ペンギンの様々な種類と表情に触れる長崎ペンギン水族館

長崎ペンギン水族館はペンギンの展示にも工夫が施されていて、訪れる人を魅了しています。ペンギン用プールとしては日本最大級といわれる水深4mの大型潜水プールは、空を飛ぶように素早く泳ぎ回るペンギンの姿が良く見えます。飼育場から約100m離れた橘湾の一角を網と柵で囲った「ふれあいペンギンビーチ」は、海で泳いだり、砂浜を歩いたり、自由に過ごしたりしている様子を観察できます。飼育員がアジを与える「お食事タイム」や参加者が行う「エサやり体験」などのイベントがあり、長崎の暑さに適応できるフンボルトペンギンの愛らしい表情に癒されます。館内には、様々な種類のペンギンがいますので、見学の価値は大いにあります。

 

自然に親しみを感じることのできる長崎ペンギン水族館

長崎ペンギン水族館は、ペンギン以外でも長崎市近海に生息する魚類40種類や生物を展示しており、「タッチプール」ではヒトデやナマコに直接触れることができるなど、海棲生物を親しめる施設となっています。前身の長崎水族館の規模を縮小して再スタートした長崎ペンギン水族館は、小さな水族館ですが、長崎とペンギンの関わりや長崎近海の自然をうまく表現し、それになんといっても東洋一の水族館と謳われた長崎水族館で培ったノウハウがうまく受け継がれ、発展させている素晴らしい水族館です。みなさんも長崎ペンギン水族館を訪れてみて、ペンギンの可愛らしい姿を観察してみてはいかがでしょうか。

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