透明な水の流れに泳ぐ色とりどりの鯉、良質な水に恵まれた島原の観光スポットに成長した鯉の泳ぐまち

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島原半島

色とりどりの鯉が泳ぐ「鯉の泳ぐまち」

長崎県島原市にある「鯉の泳ぐまち」は、町並みを流れる約100mほどの水路に鯉を放流している場所で、色とりどりの錦鯉が泳いでいます。「鯉の泳ぐまち」は、当該地域である下新町町内会の人たちが中心となって、街中を流れる清らかな水路を生かした街づくりと、子どもたちの豊かな心を育てるために昭和53年に水路に鯉を放流したことが始まりです。その後毎年5月5日のこどもの日に鯉を放流することが恒例行事となり、島原市の観光スポットの1つとなっています。今回は清らかな水の流れをもたらす島原の豊富な水資源や、鯉の泳ぐまちがある島原市新町について触れながらその魅力に迫っていきます。

集まってきた鯉

良質な水が豊富に恵まれている島原

島原には古くからある溶岩泉と、江戸時代に雲仙岳噴火と眉山が崩壊したいわゆる島原大変によって出来た扇状地泉の二つの豊富な水源があります。火山層や砂れきでろ過した島原の地下水は、炭酸ガスやミネラルを程よく含むようになり、水がおいしくなります。島原の湧水量は1日約22万トンといわれており、市内各所にある湧き水スポットには、良質でおいしい水を求める人々が水汲みに訪れています。島原は昭和56年に当時の国土庁より水緑都市モデル地区に指定され、昭和60年には「日本名水百選」にも選ばれるなど、市内の至るところに湧水がある水の都です。

新町付近の商店街の各所で、湧水の飲めるスポットがある

湧水が豊富な島原市の新町周辺

水資源が豊富な島原の町の中でも、「鯉の泳ぐまち」がある新町周辺は、地面を50mも掘ると湧き水が出てくるほど水に恵まれたエリアです。新町付近には、清らかな水が涼しげに流れる側溝や湧水スポットがたくさんあり、水資源が豊富であることを実感させられます。また、市役所付近から始まる万町商店街とアーケードで繋がった島原一番街という商店街があり、昔ながらのノスタルジーを感じるお店がいくつかあります。また近くには、釈迦の涅槃像で有名な江東寺や地下水が湧き出たことで出来た白土湖、そして「鯉の泳ぐまち」がありますので、それらの観光スポットを巡りながら、新町一帯を散策してみるのも良いでしょう。

水路を泳ぐ鯉

透明度の高い水を泳ぐ鯉

約100mある民家わきの水路に約1500匹の鯉を放流している「鯉の泳ぐまち」。生活感あふれる側溝を泳ぐ鯉もいれば、観光交流施設や歴史のある別邸の庭にある池で泳ぐ鯉もいたりして、とてもシチュエーションに富んでいます。湧水のため透明度が高く、カラフルな鯉を色鮮やかに見ることができます。中国の故事にたくさんの鯉の中から激流を登りきった鯉が龍になる登龍門というものがありますが、たくさんの色とりどりの鯉を見ていると、その中から龍になるものが現れるのではないかと思ってしまうほどの美しさがここの鯉にはあります。島原の人々にとって湧水は欠かせないものですが、この湧水を生かして「鯉の泳ぐまち」を大切に育んできたことを感じました。

四明荘の左側面にある池

趣深い「四明荘」の池を泳ぐ鯉

「鯉の泳ぐまち」には、明治時代後期に医師の伊東元三氏の別邸として建築された四明荘があります。四方の眺望に優れていることから名付けられた「四明荘」は、187.8坪の敷地に1日約3千トンもの水量を誇る湧水があります。湧水で満たされた池には、色とりどりの鯉が泳ぎ、赤松や楓などが植栽された庭には趣を感じます。木造瓦葺の屋敷にある座敷は、正面と左側面が、池へ張り出しています。この趣深い屋敷から見る池と庭園の景観は、ここでしか見られない素晴らしいものとなっています。また左側面に位置する四角形の池には四つの中島があり、表の池とは違った静寂な趣があります。澄んだ水の周りは低い石積で護岸され、池底はいずれも砂敷き、池の中には沢飛石が配置されています。二つの異なる池を味わいながら、色とりどりの鯉を愛でることのできる四明荘は、「鯉の泳ぐまち」の人気観光スポットです。

座敷からの眺めが素晴らしい四明荘

 

観光交流センター「清流亭」

「鯉の泳ぐまち」の新たな観光施設として平成27年に、鯉の泳ぐまち観光交流センター「清流亭」がオープンしました。観光情報の発信や市内周遊観光の拠点としての機能をもつほか、島原の特産品として認定されている島原スペシャルクオリティ商品、お土産などが販売されています。「清流亭」には長い年月をかけて湧き続けた湧水があります。先人達の水への想いを繋げてきた絆のような湧水なので、この水を飲むと願いが叶う「成就の水」と言われているそうです。城下町として発展した島原と鯉の泳ぐまちの雰囲気を体現した建物となっており、敷地内には湧水を引き込んだ池があります。池にはたくさんの大きな鯉が、ゆったりと泳いでおり、休憩をかねて鯉の観賞をしてみるのも良いでしょう。

未来へと続く「鯉の泳ぐまち」

毎年5月5日のこどもの日に「鯉の泳ぐまち」で行われる「鯉の供養と放流」では、病気などで死んでしまった鯉の供養と、新しく加わった鯉の放流をしています。子供たちの心を育て、豊かな湧水を後世に残したいと考えた新町の町内会の人々の思いが伝わる行事で、「鯉の泳ぐまち」の新陳代謝をはかるようなイメージを持ちました。紅白、三色、黄金などの多くの錦鯉が美しい流れに沿って泳ぐ姿は、島原の風景としていつまでも残ってほしいと感じますし、これからもたくさんの訪れる人々を楽しませていくことでしょう。皆さんも「鯉の泳ぐまち」を訪れてみて、鯉が泳いでいる姿をみて、心を癒してみてはいかがでしょうか。

 

 

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