雲仙の火山活動によって生み出された普賢岳中腹の景勝地、ロープウェイと自動車道路がある雲仙観光の拠点にあって紅葉する植物が自生する仁田峠

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仁田峠

仁田峠の紅葉がみせる秋の自然美

長崎県雲仙市にある仁田峠は、島原半島中央部にそびえる20以上の山々から構成する雲仙岳にあり、妙見岳と野岳の鞍部に位置します。標高1080mの仁田峠は、島原半島を囲む海の美しさや雲仙の雄大な山々を望むことができ、春のミヤマキリシマ、夏の深緑、冬の霧氷などの四季折々の表情を楽しめる景勝地です。特に秋の紅葉は圧巻で、10月中旬頃から次第に色づき始めた紅葉は、普賢岳全体と平成新山を取り囲むようにして広がり、秋の自然美が訪れる人々を魅了します。今回は、紅葉の名所である雲仙の仁田峠の紅葉について取り上げ、その魅力を確認していきます。

仁田峠第二展望所から平成新山を眺める

平成新山の噴火跡が見える仁田峠第2展望所

仁田峠へは雲仙温泉街の近くに入口がある一方通行の仁田峠循環道路を使用して自動車で行くことが出来ます。仁田峠循環道路入口から仁田峠へ行く途中にある仁田峠第2展望所は、平成3年の噴火で出来た平成新山を望む展望所です。長崎県南島原市に所在するこの展望所は、平成新山を真正面に眺めることができ、平成3年の噴火で火砕流が眼下の集落まで下ったと思われる跡が見えます。生々しい噴火の様子を伝える平成新山の周辺には、秋になると鮮やかな紅葉が平成新山の周辺を彩ります。当時の噴火の様子を今に伝える迫力ある火山とカラフルな紅葉。自然の脅威と自然美をダイナミックに感じる風景が展開します。


修験道の山から大勢の観光客が訪れる山へ

雲仙は約1300年の歴史のある霊場であり、長い間女人禁制の山でした。そんな雲仙にある仁田峠は、行基が開山した普賢岳の中腹にあたり、現在の登山者で賑わう登山道は、かつて修行のために往来していた修験者の道でした。明治以降の雲仙は保養地として開発されていき、昭和11年には、仁田峠までの自動車道が整備されます。そして昭和31年には、循環道路として全線が開通し、来るべきモータリゼーション、拡大する観光需要の波に対応します。また、昭和32年には仁田峠と妙見岳山頂付近までを結ぶ雲仙ロープウェイが開通し、体力を要せずに妙見岳からの絶景を眺めることが可能になりました。雲仙温泉街から自動車で約20分で行ける景勝地・仁田峠は、高度経済成長期の大衆化された観光需要を満たし、多くの観光客が訪れました。

野岳展望所から妙見岳、普賢岳、平成新山を眺める

景観豊かで、ビューポイントの多い仁田峠

仁田峠は、有明海や橘湾の海洋美や遠く九重連山まで展望することができるビュースポットです。また、雲仙には紅葉する植物が120種類以上あるといわれ、10月中旬頃からモミやヤマグルマ等が紅葉し始め、10月下旬頃には紅葉の見頃となります。仁田峠のお勧めする展望所として野岳展望所があります。仁田峠の駐車場からロープウェイ駅の反対側になる西側の階段を約3分登ると野岳展望所に着きます。野岳展望所からは、仁田峠、雲仙ロープウェイ、妙見岳、普賢岳、平成新山を一望のもとに収めとることができる絶好のビューポイントです。紅葉時期に豊かな色合いを見せる普賢岳広葉樹林は、普賢岳や仁田峠、ロープウェイで登った先の妙見岳などに広がっており、国の天然記念物に指定されています。

高所から俯瞰して景観を楽しめる妙見岳展望所

仁田峠から妙見岳の山頂付近までを運行する雲仙ロープウェイは、高低差約174m、距離約500mを結び、紅葉の時期には赤・黄色・深緑とカラフルに彩られた妙見岳の斜面を間近で堪能することができます。仁田峠からの眺めだけでも素晴らしいのですが、より山深く、より高所からの眺めを楽しむのであれば、ロープウェイに乗って妙見岳まで行きたいところです。仁田峠から約3分の空中ゴンドラの旅を終えて雲仙ロープウェイ妙見岳駅に着きます。妙見岳駅の駅舎の屋上は展望台になっており、登ってきた仁田峠や雲仙岳温泉街、奥には橘湾などが見えます。妙見岳駅から5〜6分山道を登ると雲仙の中でも最高所の標高1333mに位置する妙見岳展望所があります。妙見岳展望所からは、国見岳、普賢岳、平成新山が見え、秋には、雲仙の山岳一帯の紅葉の絶景を、高い場所から俯瞰して見ることができます。

仁田峠の紅葉

紅葉の頃は登山客で賑わう雲仙

妙見展望所の近くに妙見神社があります。妙見神社周辺も色のコントラストの美しい紅葉スポットです。平安時代に神仏習合が起こり、かつて雲仙で修行する修験者の信仰を集めた妙見神社。現在は、妙見岳を訪れる観光客や登山者の多くが参拝する神社となりました。体力のある方は十分な登山の装備をして、妙見神社の先の普賢岳や国見岳などを巡ってみるのも良いでしょう。鬼人谷など数多くの紅葉スポットを有する雲仙は、紅葉の時期になると登山者で賑わいます。紅葉した植物を身近に感じながら、秋の雲仙の大自然を満喫してみてはいかがでしょうか。

火山活動で造成した景勝地に彩りを添える紅葉

かつては、体力を要する険しい山道を経なければたどり着けなかった雲仙の山々ですが、道路整備により普賢岳の中腹にあたる仁田峠まで自動車で行けるようになり、さらに仁田峠から発着するロープウェイによって妙見岳の山頂付近まで体力を要せずして到着できるようになりました。これらの交通機関で移動する際は、車窓から火山活動で起伏に富んだ風景を味わって頂きたいものです。雲仙の火山活動が始まったのは約50万年前とされ、長い年月を経てたくさんの起伏に富んだ山々を形成してきました。この起伏が絶景を産み、四季の移ろいが景勝地としての景観に彩りを添えています。今回は紅葉をメインに取り上げましたが、仁田峠周辺そして山奥まで広がるカラフルな景観は、心の清涼剤となるような自然美を感じます。皆さんも例年10月下旬から11月中旬にかけて紅葉が見頃の仁田峠を訪れてみて、大自然の美しさに触れてみてはいかがでしょうか。

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